土地の売却や相続を進める中で、「登記簿に記載されている土地面積と、実際の面積が違う」と指摘されたことはありませんか。
このような場合に検討すべき手続きが地積更正登記です。
地積更正登記は、登記簿上の土地面積を正しい面積に修正するための登記であり、放置してしまうと売却価格や評価額、税金にまで影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、「土地 地積更正登記 メリット」をテーマに、地積更正登記の基本的な仕組み、行うメリット、必要となる代表的なケースについて、土地家屋調査士の視点からわかりやすく解説します。

地積更正登記とは?|土地の面積を正しく直す登記手続き

地積更正登記の基本的な仕組み

地積更正登記とは、登記簿に記載されている土地の面積(地積)が、実際の面積と異なっている場合に、その内容を正しい面積に修正するための登記手続きです。
土地の登記簿に記載されている地積は、必ずしも正確な測量に基づいているとは限らず、古い測量方法や推測値のまま登録されているケースも少なくありません。そのため、近年の測量によって実測面積とのズレが判明することがあります。
地積更正登記を行うことで、法務局に備え付けられている登記記録が現況と一致し、土地の面積が公的に正しいものとして認められます。これは土地の所有権の範囲を変える手続きではなく、あくまで「面積の表示」を正しくする登記である点が特徴です。

売却や相続、担保設定など、あらゆる不動産取引の前提となる重要な手続きといえます。

境界確定測量との違い

地積更正登記と混同されやすい手続きに「境界確定測量」がありますが、両者は目的が異なります。

境界確定測量は、隣接する土地所有者と立会いを行い、土地と土地の境界位置を確定させるための測量です。一方、地積更正登記は、その測量結果をもとに、登記簿に記載された土地面積を正しい数値へ修正する登記手続きです。
つまり、境界確定測量は「境界を決めるための作業」、地積更正登記は「登記内容を直すための手続き」という関係にあります。境界が確定していない状態では、原則として正確な地積更正登記は行えません。

そのため、実務上は「境界確定測量 → 地積更正登記」という流れで進むケースが多く、両者はセットで考える必要があります。

なぜ登記簿の面積が間違っていることがあるのか

登記簿上の土地面積が実際と異なる理由の多くは、過去の測量精度や登記制度の変遷にあります。

特に古い土地では、明治・大正・昭和初期に作成された公図や簡易的な測量に基づいて地積が登録されていることがあり、正確な実測値とは大きく異なるケースも見られます。また、分筆や合筆の際に誤差が生じたまま修正されていない場合や、長年にわたり測量自体が行われていない土地も少なくありません。
こうしたズレは、普段土地を利用しているだけでは気づきにくく、売却や相続、建築計画などの具体的な場面になって初めて問題として表面化します。

「登記簿に書いてあるから正しい」と思い込まず、実測との違いがある可能性を前提に考えることが重要です。

土地の地積更正登記を行うメリット

土地の評価額が適正になり、損を防げる

地積更正登記を行う最大のメリットの一つが、土地の評価額を実態に即したものへ是正できる点です。
登記簿上の面積が実際より小さい、または大きいままになっていると、相続税評価や売却価格の算定に影響を及ぼす可能性があります。

特に実測面積より登記面積が小さい場合、本来の価値より低く評価されてしまい、売却時に不利な条件を受け入れざるを得ないこともあります。
地積更正登記によって正確な面積が公的に認められることで、不動産会社や買主に対しても客観的な根拠を示すことができ、適正な価格での取引がしやすくなります。

また、相続の場面でも、評価額の根拠が明確になるため、相続人間の不公平感や無用な争いを防ぐ効果が期待できます。

売却・相続・分割がスムーズに進む

土地の売却や相続、分割を行う際には、登記内容と現況が一致していることが前提となります。
地積が実態と異なったままでは、不動産会社から修正を求められたり、買主が不安を感じて契約が進まなかったりすることがあります。地積更正登記を済ませておくことで、こうした障害を事前に取り除くことができます。
また、相続後に土地を分割する場合や、一部を売却する場合でも、正確な面積が確定していれば手続きがスムーズに進みます。
境界や面積に関する説明を求められる場面でも、登記簿と測量図を示すことで、第三者からの信頼を得やすくなります。結果として、交渉や手続きにかかる時間と労力を大幅に軽減することができます。

将来のトラブルや追加費用を回避できる

地積更正登記を行わずに土地を利用・保有し続けると、将来になって思わぬトラブルや追加費用が発生することがあります。
たとえば、売却直前になって面積のズレが判明し、急いで測量や登記を行う必要が生じると、時間的にも費用的にも大きな負担となります。また、相続が重なった後では、関係者が増え、合意形成が難しくなるケースもあります。
早い段階で地積更正登記を行っておけば、こうした将来的なリスクを回避でき、安心して土地を保有・活用することが可能になります。
地積更正登記は「今すぐ必要ない」と思われがちですが、将来の不測の事態を防ぐための予防策としても非常に有効な手続きです。

地積更正登記が必要になる代表的なケース

相続した土地の面積が古い登記のままになっている場合

相続によって取得した土地では、登記簿上の地積が何十年も前のまま更新されていないケースが少なくありません。

特に、親や祖父母の代から受け継がれてきた土地の場合、過去に正確な測量が行われておらず、概算や古い測量方法に基づいた面積が登記されていることがあります。相続手続きの段階では問題にならなくても、その後に売却や分割を検討した際、実測面積とのズレが発覚することがあります。

このような場合、地積更正登記を行うことで、土地の面積を現況に即した正確な数値へ修正できます。相続後の早い段階で対応しておくことで、将来の手続きを円滑に進めることができ、相続人間の無用な混乱を防ぐことにもつながります。

売却前の測量で登記面積とのズレが判明した場合

土地を売却する際に測量を行った結果、登記簿上の面積と実測面積が異なっていることが判明するケースは非常に多く見られます。
不動産会社や買主から指摘を受け、「このままでは契約できない」「面積を修正してほしい」と求められることも少なくありません。
このような場面で地積更正登記を行えば、登記簿の地積を正しい面積に修正でき、買主に対して安心材料を提供できます。逆に、ズレを放置したまま売却を進めようとすると、価格交渉で不利になったり、契約そのものが白紙になる可能性もあります。

売却を円滑に進めるためにも、測量結果に基づいた地積更正登記は重要な手続きです。

分筆・合筆・開発を行う前の整理として必要な場合

土地を分筆して一部を売却したり、相続人ごとに分けたりする場合、正確な面積が確定していることが前提となります。また、複数の土地を合筆する場合や、開発・造成を行う際にも、登記内容と現況が一致していなければ手続きが進められません。
こうした場面では、まず地積更正登記によって土地の面積を正しく整理しておくことが重要です。面積が曖昧なまま次の手続きに進むと、後から修正が必要になり、余計な時間や費用がかかることがあります。

将来的な土地活用を見据えた「事前準備」として、地積更正登記は非常に有効な役割を果たします。

地積更正登記の流れと専門家の役割

測量から登記完了までの基本的な流れ

地積更正登記は、いきなり法務局に申請すれば完了するものではなく、いくつかの重要な工程を踏んで進められます。まず行われるのが、現地での測量と資料調査です。過去の公図や地積測量図、境界関係資料を確認し、現況と照らし合わせたうえで正確な土地面積を算出します。必要に応じて、隣接地所有者との立会いを行い、境界を確認することもあります。
その後、測量結果を基に地積測量図を作成し、法務局へ地積更正登記を申請します。審査を経て登記が完了すれば、登記簿上の地積が正しい面積に修正されます。全体として一定の期間を要するため、売却や相続の予定がある場合は、早めに着手することが重要です。

土地家屋調査士が行う業務内容

地積更正登記において中心的な役割を担うのが土地家屋調査士です。

土地家屋調査士は、土地や建物の表示に関する登記の専門家であり、正確な測量と登記申請を行うことが法律で認められています。具体的には、現地測量、境界確認の立会い、地積測量図の作成、法務局への登記申請書類の作成・提出までを一貫して対応します。
また、単に登記を行うだけでなく、「本当に地積更正登記が必要か」「他の手続きと組み合わせた方がよいか」といった判断も重要な役割です。専門家が関与することで、無駄な手続きを避け、最適な方法を選択できる点が大きなメリットといえます。

早めに専門家へ相談することの重要性

地積更正登記は、「問題が起きてから考える手続き」と捉えられがちですが、実際には事前に対応することで多くのリスクを回避できます。売却直前や相続手続きの最中に面積のズレが判明すると、対応に追われ、時間的・精神的な負担が大きくなります。
早い段階で土地家屋調査士へ相談すれば、登記内容と現況のズレを把握し、必要な手続きを整理したうえで計画的に進めることができます。

将来の売却や相続を見据え、「今すぐ必要ではないが、気になる」という段階で相談することが、結果的に土地の価値を守り、スムーズな手続きにつながります。

まとめ|地積更正登記は「土地の価値を守るための重要な手続き」

地積更正登記は、土地の面積を正しく整え、評価額や取引の前提を明確にするための重要な手続きです。
登記簿上の面積と実態が異なるまま放置すると、売却・相続・担保設定など、さまざまな場面で不利になる可能性があります。
早めに専門家へ相談し、適切なタイミングで地積更正登記を行うことが、土地の価値を守り、将来の安心につながります。

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